住まいの新築・リフォームを計画するなら、間取りや内装デザインなどに合わせて家具をどうするかも慎重に検討しなければなりません。
この記事では新築・リフォームの家具工事について、
- オーダー家具の工程
- オーダー家具のコスト
- 家具のコストを抑える選択肢
についてご紹介します。
住まいの家具、3つの選択肢
住まいの家具を用意するには、主に下記のような3つの選択肢があります。
既製品家具
既製品家具は、家具にかかるコストを最も安価に抑えられる選択肢かもしれません。もちろん高級・高品質なブランド家具やアンティーク家具もありますが、比較的リーズナブルな価格帯のものでもデザイン性・質感ともに優れた製品は多く見つかります。もちろん新築・リフォーム工事後に以前から持っていた家具を引き続き使用することも可能です。
とはいえ、ユーザーの細かなこだわりにも間取りにもぴったりと合う家具を見つけるのは難しく、コスト最優先で全ての家具を既製品でそろえると後悔してしまうかもしれません。
造作家具
造作家具は大工が現場で作成する家具のことです。「造作」とは大工が行う内装仕上げ工事全般を指します。一種のオーダー家具なので間取りにはぴったり合いますし、可能な範囲で施主の要望にもこたえてくれるでしょう。
とはいえ、造作家具では複雑な構造の家具を作成するのは難しく、使用する素材のグレードやデザイン性にも限界があります。
造作家具の費用項目は「家具工事」ではなく「木工事」などに含まれます。
オーダー家具
オーダー家具は家具職人が専用の工場で製造し、現場に取り付けます。施主の要望と住まいの寸法・インテリアのテイストに合わせ、かなり自由に設計できる家具です。
リビングやゲストルームなど長く時間を過ごす場所や人目につきやすい場所ではひときわ存在感をもち、住まいの美しさを際立たせるものになります。
他の選択肢に比べて高額になるので、新築やリフォームをコストダウンしたい場合にはオーダー家具を造作家具に変更する、ということもよくあります。
オーダー家具工事の工程
オーダー家具工事は下記のような工程ですすめられます。
① 設計
新築・リフォーム後の物件にピッタリ合うよう、現場の採寸・設計を行い、家具を設計します。
② 板取り
図面に基づいてパーツになるパネルを作ります。
芯材を枠状に組んで両側に化粧合板を貼り合わせるフラッシュ材を製造することもあります。
③ 納まり加工
加工したパネルを箱状に組み上げるための加工を行います。棚板がある家具では棚受けや棚板の金物の取り付け・ダボ穴(棚板を固定するための移動可能な金物)加工なども含まれます。
④ 組み立て
家具本体を組み立て、固定できる場所は接着剤やビスなどで固定します。
⑤ 塗装
棚板・扉・引き出しなど取り外せるパーツは取り外し、全体を塗装します。
⑥ 最終組み立て
塗装が乾燥したら、取り外したパーツを再度組み立て、搬入の段取りをします。ここまでの作業は工場内で行われます。扉の蝶番(ちょうつがい)の調整などは現場で行うこともあります。
⑦ 搬入・設置・取り付け
家具を現場に搬入し、取り付けます。扉の納まり調整や台輪(家具と床の間を支える部材)や支輪(家具と天井の間の隙間を塞ぐ部材)の設置など、ミリ単位以下の緻密さが求められる作業です。
オーダー家具工事にかかるコストの目安
オーダー家具工事の費用はサイズ・使用する素材などによってかなり費用に開きがでますが、工事の総額にはおおむね下記のような費用が含まれています。
- 材料費(雑材含む)…総額の30〜40%程度
- 組み立て加工費…総額の25〜30%程度
- 塗装費…総額の15〜20%程度
- 諸経費…総額の10〜15%程度
大まかには「材料費」・「組み立て加工費」・「塗装費用+諸経費」がそれぞれ総額の3分の1程度、と考えるとよいかもしれません。
家具工事の組み立て費は「人工(にんく)」という単位で算出されます。職人1人が1日で作業できる量を「1人工」として計算します。1人工あたりの費用は職人の技術や経験、また地域差などによって大きな差が出ますが、おおむね2.5万円前後になるでしょう。上記①〜⑦の家具工事の工程で必要となるのは約8人工(合計20万円前後)です。
オーダー家具の費用を同じ額の造作家具のコストと比較する場合、材料費・組み立て加工費・塗装費はいずれもかなり安くなりますます。具体的には、造作家具ならオーダー家具の半額程度にまでコストを抑えられることもあります。
家具工事の費用内訳 | 費用の比率 | 家具工事を約60万円と仮定した場合の試算 | 同じ工事を造作家具とする場合の費用 |
材料費 | 30〜40% | 約20万円 | 約15万円 |
組立加工費 | 25〜35% | 約20万円 | 約10万円 |
塗装費 | 15〜20% | 約10 〜15万円 | 約3〜4万円 |
諸経費 | 10〜15% | 約5〜10万円 | 約5〜6万円 |
まとめ
新築・リフォームにおける家具工事は費用がかるため、既製品家具や造作家具で代用すればコストダウンも可能です。しかし、住まいの中で特にこだわりたい部分に高品質でデザイン性の高いオーダー家具を設置すれば、住まいに特別なオリジナリティを持たせることもできます。
新築・リフォーム工事でコストダウンとこだわりのバランスを取るには、計画の初期段階から優先順位を明確にしておきましょう。