ライフステージが変わると、住まいの課題やテーマも変化します。ライフステージごとの生活・家族の変化を長期的な観点で考えると、住まいのベストな間取りも見えてきます。
この記事ではライフステージ別に、快適・安心に暮らすための間取りのヒントをご紹介します。
ライフステージ①:子どもの誕生〜10歳くらいまで
【間取りのポイント】
- LDKは開けた空間とし、キッチンは対面式にする
- 階段はリビングスルー階段にする
- 料理・選択などの家事動線を短くシンプルにする
- 可動式間仕切りでリビングの一角を子ども部屋スペースにする
【解説】
子どもが生まれた後はまず子どもの安全が暮らしの中心的な課題になります。消費者庁が公表するデータによると、家の中で特に子どもの事故が起きやすいのはキッチン・リビング・階段の3ヶ所。子どもの動きは予測しにくく、またずっと目を離さないでいるのも困難です。とはいえ、LDKを開けた空間とし、キッチンは対面式、階段もリビングの一角に配置するリビングスルー階段とすれば、子どもの動きに目が行き届きやすくなるでしょう。また、子どもが寝る時のスペースをどこに配置するかも考えておきましょう。
また子育て中は子どもの世話をしながらも家事がこなしやすくなるよう、特に料理・選択を中心とした家事動線をシンプルに短く設定します。
広さに余裕があれば、部屋の一角を可動式間仕切りで区画した、子どもが独立した子ども部屋で過ごせるようになるまで遊んだり勉強したりできる便利なスペースになります。
ライフステージ②:子どもが小学校高学年〜高校生くらいまで
【間取りのポイント】
- 子どもが集中して勉強できるスペースをつくる
- 収納スペースに十分な余裕を持たせる
- 2階に子ども部屋を置くなら、トイレ・洗面を2階にも設置する
【解説】
子どもは10歳前後から自分だけのスペースを欲しがるようになります。最初はリビングの一角に可動式間仕切りなどで勉強できるスペースを作れば十分かもしれませんが、中学校以降は特に勉強に集中しやすい独立したあった方が良いかもしれません。
子どもが成長するにつれて収納スペースのニーズも増大します。収納率(床面積に対する収納スペースの比率)はマンションで8〜10%、戸建なら13〜15%ほどが平均とされますが、家族構成や暮らし方、家族の趣味や子どもの部活などによって差があります。子どもの成長期を見すえて余裕ある収納スペースを確保しておくとよいでしょう。
2階に子ども部屋を置くなら、忙しい朝の時間帯にも混雑しないよう、2階にも洗面所やトイレが配置されているのがベストです。
ライフステージ③:子どもの独立後〜老後のくらし
【間取りのポイント】
- 段差を最小限に抑える
- 玄関寝室・バス・トイレなど生活動線もコンパクトにまとめる
- 自由で健康的な暮らしのための間取りにする
【解説】
子どもが独立した後は、スペースにも余裕が生まれます。また、子どもが社会に出ると費用面でも余裕が生まれやすくなり、この時期をリフォーム・リノベーションのベストタイミングと見る方も多いでしょう。
リフォーム・リノベーションの機会があれば高齢化しても過ごしやすいよう、段差をできるかぎり解消し、生活動線はよりコンパクトにまとめます。
また、このライフステージでは健康面にもより深い配慮を必要とします。とりわけ健康にとって好ましくない夏場・冬場の寒暖差の解消のため、必要に応じて住まいの高気密・高断熱化をはかるのがおすすめです。
さらに予算に余裕があるならば、趣味のためのガーデニングスペースを整備したり、広々した土間やウッドデッキのようなマルチに使える中間領域を作ったり、映画や音楽鑑賞、楽器の演奏を遠慮なく楽しめる防音性の高いスペースを作ったりと、より自由な暮らしを目指すこともできます。
間取りには、長く快適に暮らすための「ユニバーサルデザイン」を
ここまでライフステージごとに快適な間取りのポイントをご紹介しましたが、もちろんライフステージが変わるたびに間取りの変更リフォームが必要、というわけでは決してありません。むしろ長期的な視点で上記のポイントをまとめると、「長く快適に暮らせる間取り」が見えてくるのではないでしょうか。
だれもが快適に暮らせる・使えるデザインは「ユニバーサルデザイン」と言われます。これは、高齢者や障がい者にとっての利便性を目指す「バリアフリー」からさらに対象を広げ、赤ちゃん、青年を含めどんな人にも暮らしやすい・使いやすいデザインであることを意味します。
このユニバーサルデザインの考えを間取りにうまく取り入れると、子どもの誕生から老後まで、大きく変更しなくても快適に使える間取りが見えてきます。
たとえば、
- 段差が最小限に抑えられた床
- たっぷりと余裕のある収納
- 十分な広さの通路・ドア
などは誰にとっても好ましく、これらの特徴に不便を感じる人はまずいないでしょう。つまり、初めから上記①〜③のライフステージごとのポイントを抑えたプランを目ざすとよい、ということです。
くわえて、間仕切りの撤去や新設がしやすいように可変性のある設計とした家でも、実際に間取りの変更リフォームを実施する施主さんは少数派のようです。大多数の人が間取りをなるべく変更しないという選択をするのですから、最初から最後まで快適に暮らせる「ユニバーサルデザイン」に則った間取りが最適解と言えるでしょう。
新築や、間取りの変更を含む大規模なリフォーム・リノベーションを計画する場合には、このような長期的な目線を持ったユニバーサルデザインを取り入れた間取りにするのがおすすめです。
長く快適に暮らせる住まいの新築・リフォーム・リノベーションなら、ぜひわたしたちスマリブへお気軽にご相談ください。