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基礎は建物全体を安定させ、地震などによる負荷に抵抗する支持力を保つ上で非常に大切な役割を果たしています。

今回は、基礎の基本的な構造と、基礎にダメージや不具合がある場合に、また大きな地震にも耐える耐久性を保つためにできる基礎のリフォーム工事の方法やコストなどをご紹介します。

基礎のきほん

木造住宅の基礎には主に下記2種類の基礎のどちらかが採用されています。ちなみに、1つの建物に違う種類の基礎を使用することはできません。

ベタ基礎

木構造の土台を支える立ち上がり部分と床下の地面を覆う部分を一体化させた、鉄筋コンクリート製の基礎です。家の荷重や地震の際の負荷などを“面”で支える構造になります。

下に紹介する布基礎よりも施工費用はやや高額になりますが、強度や湿気対策の効果などを考えれば十分にメリットのある基礎構造です。

布基礎

立ち上がり部分だけの基礎で、こちらも鉄筋コンクリート製です。ベタ基礎が“面”で建物の荷重を支えるのに対し、布基礎は家の内壁・外壁などの間取りに沿った“線”で支えます。

床下の土壌が剥き出しになったままだと湿気やシロアリの被害を受けやすくなるため、防湿コンクリートなどで床下を覆うのがベストです。

布基礎はベタ基礎より安価に施工できますが、防湿コンクリートの打設にも別途費用がかかることや、耐震性・防湿性でも劣ることなどから、近年では「ベタ基礎」が木造住宅の主流になっています。

基礎にダメージがある場合

  • クラック補修の費用目安:3,500〜5,000円/m

基礎にクラックが見られる場合、それがどの程度深刻なクラックかを見分ける必要があります。ヘアークラックと呼ばれる細かなクラック(目安は幅0.3mm以下)であれば耐久性を下げる恐れはありません。幅が広めで奥深そうなクラックであれば、「Vカット工法」で補修します。基礎のクラックに沿って工具でV字に切り込みを入れそこにエポキシ樹脂を注入、その上からモルタルでカバーします。

補修の跡が目立たないよう、基礎の外観をより美しくするには基礎の塗装もおすすめです。

もし基礎のクラックが不同沈下によるものなら、大規模な修繕工事が必要になるかもしれません。不同沈下による家屋全体の歪みや傾きを修正する「ジャッキアップ工法」の場合、費用は200〜300万円ほどと高額になることもあります。

基礎が無筋コンクリートの場合

木造住宅でも基本的に基礎部分は鉄筋コンクリート製ですが、1981年(昭和56年)以前に竣工した住宅では、基礎が鉄筋のない無筋コンクリートとなっている場合があります。1981年までの住宅は、いわゆる「旧耐震」と呼ばれる古い基準によって建築されていました。

補強となる鉄筋が入っていない無筋コンクリートは耐震性が弱く、大きな地震の際には倒壊のリスクもあります。そのような基礎の補強には下記のような選択肢があります。

アラミド繊維シート補強

  • 費用目安:2〜3万円/m

大抵の場合、まずは基礎の内側を清掃し、プライマー、エポキシ樹脂系の主剤を塗装、そこにアラミド繊維シートを張り付け、さらにもう一度主剤を塗装して完成となります。この補強は鋼材の7倍の強度があると言われています。

液状のプライマーと主剤、そしてシート状のアラミド繊維と基本的な工具を床下に持ち込んで作業できるので、床材を剥がすことなく施工できます。短時間で施工できるというのも大きなメリットです。

鉄筋コンクリート増し打ち補強工事

  • 費用目安:4〜6万円/m

基礎の立ち上がり部分の内側か外側、もしくは両方に鉄筋を組み左官工事でモルタルを塗って基礎を補強する工事です。

長さのある鉄筋を使用するので、床下点検口から潜ってこの工事をするのは難しく、大抵の場合床材を剥がした状態で行い、モルタルの乾燥を待つ時間などを含めれば工期も長くなります。そのため、床の全面的なリフォームやスケルトンリフォームを行う時にベースポスト補強工事を合わせて行うのが効果的です。

基礎断熱を導入したい場合

  • 費用目安:4,000〜6,000円/㎡

通常の木造住宅ではフローリング材のすぐ下に断熱材が入っていますが、年間を通して住まいの温度環境を高度にコントロールしたい場合、「床下エアコン全館空調システム」が採用されることもあります。セントラルヒーティングなどとも言われるこのシステムは、一部の大手ハウスメーカーや北海道の工務店などが採用しているようです。

床下空間も外気の影響から守る基礎断熱は、確かに快適性や省エネの観点からはメリットの多い魅力的な構造ですが、外気を遮断して床下を断熱すると、暖かくて湿気がこもりやすいシロアリ好みの空間になってしまうリスクがあります。

基礎断熱ではシロアリ防除、床下の湿気対策、温度管理などに関して高度な設計・設備が必要になりますので、導入は経験豊富な設計士と相談の上、慎重に判断した方が良いでしょう。

基礎断熱に使用される断熱材には防蟻処理がされている製品も多くありますが、効果が切れるとシロアリの被害にさらされるかもしれません。採用する際には保証年数もしっかり確認しておきたいところです。

まとめ

建物の基礎は建物の耐久性を保つ非常に重要な部分です。基礎に気になる劣化症状が見られる、床下の湿気やシロアリ被害が気になる、という方はぜひ私たちスマリブへお気軽にご相談ください。