リフォームやメンテナンス工事のコストを適正な範囲に抑えるには、工事のタイミングを賢く見極めることは重要です。
工事がいる?いらない?その判断はある程度の予備知識があればそんなに難しいものではありません。
住まいの劣化をセルフチェックしてみよう – 屋根・外壁編に続いて、この記事では「基礎・付帯部」のセルフチェックについてご紹介します。
基礎の劣化チェックポイント
基礎は建物の自重、そして地震や強風などで建物にかかるあらゆる負荷をしっかりと地盤に伝えて建物を支えるという、非常に重要な役割を果たしています。それで基礎の劣化は、建物全体に深刻なダメージを与えることもあります。
基礎にもいくつかの種類があり、建物の種類や地盤の性質などによってどのような構造の基礎とするかは異なります。とはいえ、ほとんどの木造一戸建てに採用されているのは「布基礎」です。
布基礎は鉄筋コンクリート造(RC造)で、断面は逆T字型で下半分は地面に埋もれています。布基礎の「立ち上がり部分」は地表から30cm以上、地中には「根入れ部分」が24cm以上あります。
木造住宅の構造は、柱の真下には必ず基礎があるはずですので、布基礎は建物の間取りに合わせて配置されています。
基礎はクラックをしっかりチェック!
基礎の劣化は、クラック(ひび割れ)をよく観察すればわかるのでセルフチェックは難しくありません。ただし、クラックの種類や原因はさまざまです。
特に基礎は、
- コンクリートの乾燥・収縮
- 施工不良
- 地震
- 不同沈下
などの原因で引き起こされます。
基礎にクラックが見られるなら、下記のようなポイントをチェックしてみてください。
①クラックの幅は0.3mm以上か?
幅が0.3mm未満のものを「ヘアークラック」、幅が0.3mm、深さが4mmを超えるものを「構造クラック」と呼びます。
ヘアークラックはほとんど気にする必要はありませんが、構造クラックであればなぜクラックが発生したかをしっかり確認した方が良いでしょう。
この「構造クラック」については、“鉄筋までとどく深さのひび割れ”と説明しているWEBサイトもありますが、それは誤りです。
基礎の立ち上がり部分の幅は12cm程度で、そのほぼ中間に鉄筋が通っています。つまり、基礎の表面から鉄筋までは約6cmあるわけですから、クラックの深さが4mmぐらいでは鉄筋には全然届きません。
ただし、クラック周辺に「サビ汁」と呼ばれる茶色い雨染みのようなものが見られるなら、クラックが鉄筋に到達して鉄筋が錆び始めている証拠になります。補修を急いだ方がよいでしょう。
②特定の場所に集中しているか?
構造クラックが基礎の特定の場所に集中して目立っているようなら、強い荷重が基礎の一部分のみに集中し、建物がゆがみ始めている恐れがあります。
そのようなクラックが群生している原因は地盤の不同沈下や地震などさまざまです。どのような対処法になるかはケースバイケースですが、早めにプロの診断を求めるのがベストです。
③基礎を縦に分断するようなクラックか?
クラックが基礎の上から下まで、縦断するように割れているなら基礎に大きな力がかかり、深刻な破損が起こっている可能性もあります。たとえクラックの発生が床下換気口の周りなどであっても要注意な症状です。
このようなクラックの原因も上記②と同様で、地盤の不同沈下か地震などの影響が考えられます。
付帯部のチェックポイント
屋根・外壁周りには付帯部といわれる細かな箇所がたくさんあります。付帯部は面積的には狭い部材ですが、大切な役割がありますので時々チェックしてみるのがおすすめです。
下に破風・鼻隠し・軒天のチェックポイントをご紹介しますが、勾配のない陸屋根(ろくやね)など、屋根の形状によってはこれらの付帯部はありません。
破風板(はふいた)・鼻隠しのチェックポイント
「破風板」とは屋根の妻側(雨樋をつけない側)の端部、「鼻隠し」とは屋根の桁側(雨樋がつく側)の端部に、それぞれ取り付けられる板状の部材のことです。
つまり多くの場合、屋根の端部は破風板と鼻隠しで覆われている形状になっています。
破風板・鼻隠しの役割は似ていて、
- 雨水や風の侵入を防ぐ
- 近隣からの火災の延焼を防ぐ
- デザインを整える
などが挙げられます。
破風板・鼻隠しの素材は木材・窯業系外装材(サイディングと同じもの)・金属系(ガルバリウムなど)が使用されるのが一般的です。
破風板・鼻隠しが劣化していると、見栄えが悪いだけでなく雨漏りの原因になることもあります。
この部分は特に
- 塗装の剥がれはないか?
- 釘が抜けている部分はないか?
- 木製なら腐食はないか?
- 金属系ならサビはないか?
などを目視でチェックしてみましょう。
軒天井のチェックポイント
付帯部をチェックするときには、破風板・鼻隠しに近い軒天井(「軒天」ともいいます)も合わせてチェックしてみましょう。
軒天井の素材はさまざまですが、破風板・鼻隠しのように延焼防止のために不燃材料が張られ、屋根裏の換気のために有孔ボードや換気口が取り付けられていることも多いです。
築年数が長い建物だと、軒天が破損して大きな穴があき、害虫や鳥、野良猫などの侵入経路になることもあり得ます。
軒天はとりあえず破損がなければ大丈夫ですが、目立つ場所ですので塗装メンテナンスまでしっかり行き届いているのが理想です。
まとめ
住まいのチェックは年に1,2度のペースで行うだけでも、リフォームが必要かどうかのヒントがたくさん得られると思います。加えて、台風や大きめの地震などの後にも、住まいにダメージがないか確認してみるのがおすすめです。
- セルフチェックして問題が見つかった
- チェックできないけどダメージが来ている可能性が高い
- 原因はわからないが雨漏りなどのトラブルが見られる
といった場合には、ぜひ私たちスマリブへお気軽にご相談ください。