Skip to main content

さまざまな分野で自然派志向が進んでいますが、建築でも天然素材の建材・インテリアが好まれるようになっています。

そこで、この記事では天然素材の中でも非常に長い歴史を持ち、今も愛好する人の多い「漆喰(しっくい)」についてご紹介しましょう。

そもそも漆喰とはどんな建材?

漆喰の主成分は消石灰、つまり水酸化カルシウムです。これにひび割れを抑えるための繊維質や糊、用途に応じて砂などを混ぜ合わせたものが建材として使用されます。繊維質は「すさ」といって藁や麻からとられ、糊は海藻から作られます。

漆喰は粉末の状態で販売されていて、そこに水を加えてペースト状になったものを約1mmの厚さで壁に塗っていきます。水と混ざった漆喰は二酸化炭素と反応しながら硬化していき、どんどん炭酸カルシウム(石灰石)へと変化していくんですね。

このように出来上がった漆喰の壁は、紫外線や風雨に対しても非常に強く古くから城や屋敷の壁に使用されてきました。そのように美しい城壁を「白亜(はくあ)」と言ったりしますが、白亜とは眩しいような鮮烈な石灰石の白色を指す言葉です。世界遺産にもなった姫路城の壁にもこの漆喰が塗られています。

漆喰の色が違えば種類は異なる

漆喰にはじつはいろんな種類があり、それぞれに色や特性が少しずつ異なっています。主要な漆喰には下記のようなものがあります。

●本漆喰

漆喰は混ぜ物がなければ純白となります。白さにこだわるなら添加するスサも麻や紙から取られた白いスサを使用します。このような漆喰を「本漆喰」といいます。

漆喰を磨き上げるように塗り込めば、鏡面のような美しい光沢を出すこともできます。

●土佐漆喰

漆喰に混ぜ合わせる「すさ」を藁(わら)でつくると、黄色がかった漆喰となります。特に高知で伝統的に製造されている土佐漆喰ではこの温かみのある生成り色が楽しめます。

藁の繊維質によって、土佐漆喰は本漆喰よりも強度が高く、床面に使用することも可能です。

●黒漆喰

黒漆喰は松煙や油煙などの煤(すす)を練り込んだ黒色の漆喰で、「江戸黒」などとも呼ばれます。独特の深みのある黒漆喰は吸い込まれるような美しさがありますが、漆喰の中でも施工が特に難しく、黒漆喰を扱える左官職人を探すには、ちょっと時間がかかるかもしれません。

建材としての漆喰の特徴

とくに住環境にとってメリットが大きい漆喰の特徴には下記のようなものがあります。

漆喰の特徴①:強アルカリ性による高い抗菌・防カビ作用

漆喰の主成分である消石灰は強いアルカリ性で、高い抗菌・防カビ作用があります。さらに新型コロナウイルスを接触5分で99.9%不活化するという嬉しい効果も確認されているようです。

ただし漆喰の強アルカリ性は、扱い方によっては人間にとっても危険なので、施工するときには肌、そして特に目に付着しないよう細心の注意を払いましょう。

漆喰の特徴②:ホルムアルデヒド吸着作用

建材に使用される塗料や接着剤などにはさまざまな形で化学物質が含まれていて、それがシックハウス症候群として身体に悪影響を及ぼすことがあります。

シックハウス症候群につながる主な物質のひとつであるホルムアルデヒドは、漆喰はこのホルムアルデヒドを吸着し、無害な糖へと分解する作用があります。

現在の建築基準法を守って建てられた家の中ではホルムアルデヒドの濃度は高くなりませんが、化学物質に敏感な人にとって漆喰はフレンドリーな建材と言えるでしょう。

漆喰に関してよくある疑問

漆喰は身近な素材ではあるものの、ちょっと誤解されている部分もあるかもしれません。

漆喰は調湿建材?

漆喰には湿気を吸収・放出する「調湿作用」があるものの、「調湿建材」とはいえません。JIS規格によると「24時間で1㎡あたり70g以上の水分を吸収するもの」だけが調湿建材と認められますが、漆喰のこの数値は40gほどにとどまります。

おそらく、昔ながらの「土壁+漆喰」の壁であれば高い調湿作用があり、その名残りから「漆喰は高い調湿性がある」というイメージがあるのかもしれません。

漆喰は100%天然素材?

基本的には漆喰は天然素材のみで製造されますが、DIYでも扱いやすく調整された「漆喰“調”」とか「漆喰“風”」などといわれる塗り壁材では、天然由来ではない化学合成材が添加されていることが多いようです。

化学物質=悪、と言うわけではありません。用途や目的に応じて漆喰か漆喰調か適切な方を選ぶとよいでしょう。

漆喰は経年劣化する?

漆喰は二酸化炭素に反応して硬化します。この硬化はかなり長い時間かけて進行するので、漆喰は施工後しばらくの間どんどん硬くなっていきます。

ただし、振動や乾燥などの影響による細かなひび割れはどうしても生じてしまいます。

色合いに関しては、顔料を含まない漆喰であれば褪色することもありませんが、上でご紹介した土佐漆喰などでは色味が少しずつ白っぽく変化していく可能性はあります。

また、漆喰の強アルカリ性は年月を経てゆっくりと中性化していきます。そのため、施工から何年も経った漆喰は抗菌・防カビ性能は下がり、カビが生えるようになってしまうこともあります。

まとめ

漆喰は歴史ある天然素材で、住環境にうれしい特徴がたくさんあります。漆喰を取り入れた住まいに関心がある方は、ぜひわたしたちスマリブへお気軽にご相談ください!