新築・リフォーム・リノベーションの見積書には、きっと「諸経費」という項目が含まれているでしょう。もしかすると、「現場管理費および諸経費」というように他の項目と合算して表記されているかもしれません。
費用項目の多いリフォームや新築工事の見積書は、すべて記載すると逆にわかりにくくなってしまうので、細かな項目は「諸経費」にまとめて記載するのが一般的です。とはいえ、施主目線ではその諸経費になにが含まれるのか曖昧なまま契約に進みたくないですよね。
今回は新築・リフォーム工事などの「諸経費」には何が含まれているか、少しご説明したいと思います。
諸経費は「費用全体の10〜20%」が一般的
諸経費に何を含めるかに決まったルールはなく算出方法は業者ごとに違いますが、新築・リフォーム工事の諸経費は費用全体の10〜20%ほどになるのが一般的です。
ただし、諸経費に含める項目が多い業者なら、見積もりの諸経費が全体の30%前後になっていることもあります。それで、諸経費の比率が高めでも不当に高額な請求をする悪徳業者だと決めつける必要はありません。
諸経費に含まれている費用
諸経費にはたいてい、主に下記のような費用が含まれています。
解体・撤去費用
リフォーム工事であれば規模や工事箇所に応じてそれなりの解体・撤去費用がかかります。
とくに水回りの住宅設備の解体・撤去費用は少し高くなり、目安として下記のような費用がかかります。
- トイレ設備の解体・撤去・費用…2万円程度
- バスタブの解体・撤去・費用…5万円程度
- キッチンの解体・撤去・費用…3万円程度
廃棄物処理費用(処分料)
解体・撤去とは別に、廃材処分にも費用がかかります。この費用はリフォームだけでなく端材がたくさんでる新築工事でも必要です。
廃材は施工業者ではなく産業廃棄物の回収・処分専門の業者が回収してくれます。廃棄物処理の費用は、廃棄する資材の内容によって下記のような金額が目安になります。
- 軽量混合廃棄物(石膏ボードやコンクリートを含まないもの)…3万円〜/㎡
- ボード・ガラ混合廃棄物(石膏ボードやコンクリートを含む)…5万円〜/㎡
- 木材のみ…1万円〜/㎡
- 石膏ボードのみ…2万円〜/㎡
基本的にリサイクルできない廃材は処分費用が高くなり、リサイクル可能でかつ分別している廃材は安くなります。
設備・工具類リース費用
新築・リフォーム工事に必要だけど、自社で所有していない設備や工具類はリース会社に費用を払って借りることになります。
新築・リフォーム工事ではよく下記のような設備をリースで用意します。
- 仮設トイレ単価…1ヶ月あたり約2〜4万円/台
- 仮設足場単価…1ヶ月あたり約1,000〜1,200円/㎡
足場費用は「面積×単価」算出しますが、新築工事や外壁塗装工事の足場代は大体1ヶ月15〜20万円くらいと高額になるので、見積書では足場代の項目を諸経費には含めず分けて記載されることが多いと思います。
他にも発電機や工事車両など、工事の内容や規模に合わせていろいろなリース費用が発生します。
手数料・税
手数料や税金類は、新築・リフォームに関する費用の中でもっとも複雑な費用かもしれません。
工事する物件が中古か、新築か、ローンを組むかどうかなどの条件によって、必要になる手数料や税金の種類は変わってきます。
代表的な手数料・税金には下記のようなものがあります。
●印紙代
あらゆる契約には「印紙税」という税金がかかります。この税金を納めるためには「収入印紙」という切手のようなものを買い、契約書に貼り付けなければいけません。
印紙税は契約金額ごとに税額が定められていています。もともとそんなに高額になる税金ではありませんが(下表の左側の金額を参照)令和6年3月までは軽減措置があり(下表右側の金額を参照)、契約金額ごとの印紙税は下記のようになります。
- 100万円を超え 200万円以下…400円/200円
- 200万円を超え 300万円以下…1千円/500円
- 300万円を超え 500万円以下…2千円/1千円
- 500万円を超え1千万円以下…1万円/5千円
- 1千万円を超え 5千万円以下…2万円/1万円
収入印紙は郵便局やコンビニなどでもかんたんに入手可能です。
●所有権移転登記
土地や建物の相続や売買が関係している新築・リフォーム工事では、法務局で「所有権移転登記」という手続きを行わなければなりません。
施主が自分で登記することもできますが、かなり煩雑な作業になるので司法書士に代行してもらうのが一般的です。この場合の代行手数料は、5万円程度となることが多いようです。
●抵当権設定登記
新築・リフォーム工事代金をローンで支払うなら「抵当権設定登記」という手続きが必要になります。これはローンを組んでくれる金融機関が指名する司法書士によって行われ、費用は5〜7万円ほどかかります。
見積書をもらったら、諸経費の妥当性をチェックしましょう
「諸経費」という項目の曖昧さを利用して、この項目の金額をかさ増しして不当に利益を出そうとする業者がいるのも事実です。たとえば、大幅な値引きを約束しながら諸経費部分を不当に高額にし、見積もり総額を相場より高くするという悪質なケースも考えられます。
見積書を検討する際には諸経費に何が含まれるか、それが妥当な金額か、そして見積もりの総額も適正かなどをチェックしてみると安心です。