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“ウッドショックなので新築もリフォームも今は買い控えた方がよい”…巷ではそんな意見も聞かれますが、そもそもウッドショックとはどんな問題なのでしょうか?そして、実際に新築やリフォームはしばらく見送った方がいいのでしょうか?

問題の原因や影響を理解しておけば、買い控え以外の良い選択肢もみえてくるかもしれません。この記事ではウッドショックが起きた理由やそれが及ぼす影響について少しご紹介します。

ウッドショックとは?何が起きている?

「ウッドショック」とは木材の需要に供給が追いつかず、結果として木材の価格が上がる状況を指し、2020年から今までウッドショックが続いています。

実はウッドショックは1990年代初頭と2006年ごろの2回起きていて、現在のウッドショックは正確には「第3次ウッドショック」ということになります。

ウッドショックはなぜ起きたのか?

今回のウッドショックは複合的な原因によって起こっていますが、主な原因は「アメリカの住宅需要の増加」といわれています。

アメリカの住宅建築許可件数は新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に拡大し始めた2020年4月に大きく落ち込みましたが、それが落ち着くと2021年1月ごろまで急速に新築住宅の需要が拡大し、その需要は現在でも高い水準を保っているようです。この需要の拡大に供給が追いつかず、今回のウッドショックにつながる形となりました。

実際には新築住宅の需要の増加傾向は、アメリカだけでなくヨーロッパや中国など世界の各所で見られます。日本でも新築住宅の需要は高まっていますが、残念ながらウッドショックによって足止めされている状況なんですね。日本の住宅に使用する木材は約7割が輸入に頼っていて、国産材への切り替えも簡単ではないので、厳しい状況が続いています。

さらにパンデミックによる労働者不足、山火事や虫害による森林資源の損失などのトラブルが重なって、木材のサプライチェーンは十分に機能しない状況に陥ってしまいました。こういった複合的な原因によって、現在のウッドショックが起こっているというわけです。

ウッドショックはいつまでつづく?

では、ウッドショックはいつまで続くのでしょうか?今も需要が不安定な状況はつづいているため、この点に関しては確かなことは何も言えません。

とはいえ、木材・木製品の価格変動グラフを見てみると2021年秋以降木材の輸入物価指数は微減、つまり価格が少しずつ下がってきていることがわかります。ただ、その下降はかなりゆるやかなので、元の価格に戻るのがいつになるのかは残念ながら今でも不透明です。

出典:経済産業省ホームページ(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220502hitokoto.html)

ウッドショックがユーザーに与える2つの影響

新築・リフォームを行おうとする人にとって、ウッドショックは下記のような主に2つの影響を及ぼします。

ウッドショックの影響①:工事金額が上がる

木材価格の値上げに伴い、やはり新築・リフォーム工事の金額は上がっています。

新築の場合、大手住宅メーカーや工務店の中には坪単価を1〜2万円程度値上げしているところもあり、値上げ幅の大きな住宅メーカーだと坪単価5〜6万ほど値上げしているところもあります。

戸建て住宅の延べ床面積が30〜40坪くらいであれば、新築だと100〜250万円、またはそれ以上の値上げになることも考えられるでしょう。

リフォーム工事の規模は様々なのでウッドショックでどれほど値上げになるか一概には言えませんが、小規模のリフォーム工事であれば工事価格は据え置きか多少の値上げ、スケルトンリフォームや構造材に手を入れる増改築工事であれば多少の値上げか新築と同程度の値上げ幅となるかもしれません。

ほとんどの場合、住宅メーカーや工務店はウッドショックによる木材価格の上昇分をなるべく自らで負担し、負担しきれない部分の価格を見積もりに上乗せする形で施主に負担をお願いする形をとっています。

ウッドショックの影響②:工事物件の着工・引き渡しが遅れる

ウッドショックのもう一つの深刻な影響は着工・引き渡しの遅れです。木材の供給に需要が追いついていないため、新築・リフォーム工事に必要な木材の調達スピードが大幅に遅れるケースも見られます。

この遅れは数ヶ月〜半年程度となることもあり、生活の不便さだけではなく仮住まいの賃料など、経済的にも軽視できない影響がありそうです。

ウッドショックが続く今、新築・リフォームは見送るべき?

ウッドショックの影響は今後も続きそうな気配がみられます。とはいえ新築・リフォーム工事はしばらく見送った方が良いとは限りません。

ウッドショックは日本の建築業に大きく影響しているとはいえ、住宅メーカー・工務店の状況や取り組み方は様々で、木材の確保に余裕がある業者や、施主への負担をうまく抑えている業者もあります。そもそも、ウッドショックが今後改善し続けるか、再度悪化するかは定かではないため、買い控えが必ず賢い選択だともいえないのです。

それで、もし以前からを新築・リフォームを計画していたのであれば、予算や要望をまとめて、工務店や住宅メーカーに一度相談してみるのがおすすめです。