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いつまでも若々しく元気に過ごしたいというのは、誰もが願うことですよね。

しかし、年齢を重ねて衰える体には抗えないのが現実。少しでも長く、健やかに暮らすためには適度な運動と体によい食生活が大切です。本記事では、加齢による健康の問題と食事で解決できる方法を、具体的に解説していきます。

高齢者特有の症状を引き起こさないように、早い内から意識することで老化スピードを遅らせましょう。日々の心がけの積み重ねで、人生100年時代の健康的なシニアライフを実現できますよ。

シニア世代が気にすべき「低栄養」とは? 

厚生労働省によると、低栄養とは「健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂れていない状態を指します。」とあります。(出典:厚生労働省

特にタンパク質とエネルギーが不足した状態は「PEM(Protein energy malnutrition):タンパク質・エネルギー欠乏(症)」と呼ばれます。高齢者の低栄養の問題は深刻です。固いものや繊維の多いものを食べにくくなるため、ビタミンやミネラル類・食物繊維も不足します。

加齢により筋力や筋肉量が減り、さらに低栄養が加わると様々な症状を引き起こします。要介護状態や寝たきりの原因にもなることからも、シニア世代にとって「食」が非常に重要であることが分かります。

低栄養が進行を早める老衰現象 

自然に起こる老化現象に、低栄養が加わると具体的にはどのような症状を引き起こすのでしょうか。体重減少や筋力低下・むくみ・感染症にかかりやすいなど、さまざまな状態がありますがなかでも次のご紹介する3つの状態が深刻です。

 フレイル

フレイルは「虚弱状態」を指しています。聞きなじみのない言葉ですが、体だけでなく精神・心理に対しても起こる現象で、社会生活にも影響を及ぼします。体が弱ると同時に心身の衰えが進行します。要介護状態になる手前の段階といえるでしょう。

筋力・筋肉量の減少➡活動量の低下➡エネルギー消費量の低下➡食欲低下➡栄養摂取不足➡低栄養➡さらに筋力・筋肉量の低下を引き起こすという悪循環が起こります。

これをフレイル・サイクルと呼び、高齢者にとって最も避けたい現象です。

サルコペニア

サルコペニアは簡単に言えば、筋肉量の減少のことです。

ギリシア語の「サルコ(sarco):筋肉」と「ぺニア(penia):喪失」を合わせた造語とされています。加齢による全身の筋肉量と筋力の減少による、身体能力低下状態で「加齢性筋肉減弱現象」とも呼ばれます。

現状、薬による有効な治療は確立されていないため、タンパク質の摂取と適度な運動により、筋力低下を防ぐしかありません。

筋力は40歳ごろから低下し、70歳を過ぎると自覚症状が現れます。入院などで行動に制限がかかるようなきっかけで、数日で一気に進行し重症化するとも言われています。

ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームとは、移動するため能力が衰える状態を表しています。略してロコモと呼ばれることもあります。

ロコモの原因は大きく分けると二つ。

一つ目は加齢+運動不足による、筋力の低下です。加齢で、骨・関節・筋肉・神経などの運動器を成り立たせている組織の障害が起こり、立ち歩きなどの作業能力が低下します。この身体能力の低下により将来的に介護が必要になる可能性が高まります。

もう一つは、骨や関節などの運動器自体の「病気」です。骨粗しょう症・変形性関節症・変形性脊椎症は、ロコモティブシンドロームの三大原因病といわれます。骨が弱くなると、転倒による骨折や寝たきりなどのリスクが高くなり危険です。

低栄養を防ぐために気を付けたい4つのポイント

低栄養を防ぐには、食生活の改善が決め手となります。と言っても、難しい栄養学などは必要ありませんのでご安心ください。

次にあげる4つのポイントを参考に、食生活の見直しをしてください。シンプルなことばかりですが、年齢を重ねても健康的な体と暮らしを維持するために大切なことばかりです。

バランスのよい食事

「当たり前」と思われるかもしれませんが、主食・主菜・副菜を基本としたバランスのよい食事を摂ることが最も大切です。

生・焼く・煮るなど、調理方法の偏りもないように気を付けてください。

タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素をバランスよく摂り、塩分は控えめにしてください。動物性タンパク質の摂取も重要で、魚:肉=1:1の割合で食べるようにしましょう。

量を減らして食事回数を増やす

年齢を重ねると食が細くなり、たくさんの食事を一度に摂れないこともあるでしょう。そのような場合には、1日3食にこだわりすぎず、1回あたりの量を減らして間食を取り入れてみてください。回数を増やして、1日に摂取すべき栄養素をまんべんなく取り入れることが大切です。

なお、高齢者が1日に必要な栄養の目安は次のとおりです。

  • タンパク質:男性50グラム 女性40グラム
  • 脂質:1日に摂取すべきカロリーの20~30%
  • 炭水化物:1日に摂取すべきカロリーの50~60%
  • ビタミン:種類によって異なる(例:緑黄色野菜100グラム・果物150グラム・淡色野菜250グラム)

摂取カロリーは個々の活動量によっても違いますが、男性で1,850キロカロリー・女性で1,500キロカロリーと言われています。人それぞれの健康状態や運動量により必要な栄養量はかわるため、適切な助言を求めるとよいでしょう。

自治体にある「地域包括センター」では、高齢者の保健医療の向上をサポートしています。(参照:厚生労働省)「誰に相談すればよいか」の相談をしてもよいかもしれませんね。

食べやすい工夫をする

運動量や基礎代謝の低下から、年齢を重ねると食欲が低下しがちです。食欲増進のために、香辛料や薬味を利用してみましょう。

香辛料に含まれる辛味成分による消化器粘膜への刺激は、消化液・唾液の分泌を促します。栄養の吸収を高める効果もあります。

個食を避け、人といっしょに食事を摂る

精神的な要因で、食欲がなくなるケースも考えられます。近親者との死別などから孤独感が高まる、生きがいがなくなるなどの精神的な不安が食欲低下を招きます。

友人を招いたり、外食をしたり、できるだけ楽しいと感じる環境で食事をしましょう。

また、必要な栄養を取らなくてはいけないと頑なに考えると、かえってストレスになってしまいます。適度にリラックスをして食事を楽しんでくださいね。

食事に気を付けて健康的なシニアライフを送ろう

シニアにとって健康的な生活は、食と運動にかかっていると言っても過言ではありません。老化現象は自然に起こるため、衰えてしまう体の機能をサポートできる環境づくりが大切です。

毎日の食事は、健やかな暮らしにとってなくてはならない重要なポイント。日々の食生活に気を配り、これからのセカンドライフを生き生きと元気に送ってくださいね。