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新築・リノベーションにおいて、「動線計画」は設計に欠かせない大切な要素です。新しく出来上がる住まいが心地よく暮らせる空間になるかどうかは、かなりの程度この動線計画にかかっています。

といっても動線や間取りプランには絶対的な正解はないので動線計画をむずかしく感じる方や、物件の引き渡し後に「やっぱりああしておけばよかった…」と間取りのことで後悔してしまう方も少なくないようです。

それでこの記事では後悔しない間取りのために、動線計画に役立ついくつかのポイントをご紹介します。

ポイント①:動線は自由さを忘れずに

「動線は短くシンプルに」というのが動線計画の鉄則とされています。確かに動く距離を短く、直線的にすれば家事や在宅ワークなどは効率的になります。

  • キッチン→玄関、パントリー、収納
  • 洗濯機→バルコニー、家事室、収納

このように、一つの家事で関係し合う場所の間の動線はなるべく短く、シンプルにするのが動線計画のいわば鉄則となります。

このような動線を「家事動線」と言いますが、このセオリーは家事だけでなく在宅ワークのような他の作業にも当てはめられるでしょう。作業スペースからなるべく移動せず必要な作業を済ませられるよう、必要なスペースや道具を近くに集中させておきます。

とはいえ、単に動線を短くシンプルにするだけで住まいが心地よく快適になるわけではありません。動線計画では住む人の自由さ、そして家で過ごす楽しさも忘れたくないポイントです。

くらしの自由さのためには動線を固定しないという考え方もできます。例えば動線を固定しがちな廊下をなるべく少なくし、各部屋を複数のドアでアクセスしやすくする、ユニバーサルスペース(用途を限定しない広い空間)を取り入れるなどすれば、家の中にシンプルながらも自由な動線が現れます。

このような考え方を活かし、最近では主流になりつつある考え方のひとつが「回遊動線」です。

●近年の設計では「回遊動線」が主流に

回遊動線とは動線が行き止まりにならずループするプランのことです。この回遊動線を取り入れると、人が家の中を自由に動け、人数の多い家族にとって特に忙しい朝の時間帯も混雑しにくい間取りとなります。

回遊動線のループは一つではなく、メインの回遊動線、水まわりの回遊動線、来客用の回遊動線など、複数の動線のループを組み合わせるなら、より自由で快適に過ごせます。

ポイント②:動線はスムーズで安全に

動線が短くてシンプルならそれだけで過ごしやすくなるとも限りません。動線に沿って人がスムーズかつ安全に移動するためには、移動のための十分なスペースを確保しておく必要があります。

プランニングの段階で動線にリアリティを持たせるためには、身体のサイズや感覚も併せて考えましょう。つまり動線を単なる線ではなく人間の動きとして具体的にイメージし、危険な箇所はないか、窮屈さを感じないかなどを検討します。

家の中でのスムーズな移動のためのスペースを確保するためには、例えば下記のような寸法の目安を覚えておくと良いかもしれません。

  • 一人が歩行するのに必要な幅…約60cm
  • 一人が余裕をもって歩行するのに必要な幅…約90cm
  • 二人がすれ違う時に必要な幅…約120cm
  • 車椅子が安全に通行するための幅…約120cm

ちなみに、標準的な廊下の幅は約90cmになっています。間取りのプランニングでは、動線上に上記のような幅が確保できているかも確認するようにしましょう。たとえば部屋の中を通る動線では、家具を配置・使用している(ダイニングテーブルやソファなら人が腰掛けている)状態で、動線上に十分なスペースがあるかもチェックします。

たいていは動線上に十分なスペースがあればスムーズなだけでなく、角や死角の少ない安全な動線とすることができるでしょう。

ポイント③:適度なコミュニケーションが生まれる動線に

例えば病院では医療スタッフと患者の動線が、店舗では店員と客の動線がなるべく交差しないのが良いプランとされますが、住宅の場合はあえて住む人それぞれの動線が適度に交差するような動線計画とするのも一つの良い選択肢になります。

例えば家族がそれぞれ誰とも顔を合わせずに自室と玄関を行き来できるプランにするのもひとつの選択肢ですが、玄関・自室の間で一度キッチンやリビングを経由する動線計画にすると、日常生活の中で家族間の自然なコミュニケーションが生まれやすくなるかもしれません。

まとめ

動線計画は間取りプラン、ひいては新しい生活をデザインする大切な作業になります。動線計画に絶対的な正解というものはありませんが、家づくりのための後悔しない動線計画は可能ですし、住まいの設計の専門家と相談しながらプランニングしていけば、より理想的な住まいに近づけます。

新築・リノベーションをお考えで、理想の間取り・動線計画を見つけたい皆様、ぜひわたしたちスマリブへお気軽にご相談ください。